個別化が必要になってきた医療業界
医療従事者として一人前になるまでには通常は現場で2年から3年程度の期間が必要になる。その間に学ぶのは、基本的な医療における作業についてだろう。
病気で訪れた患者に対して治療計画に従った対応を行い、最適な方法として確立された治療を行うすることが求められる。しかし、それが必要とされる状況にこそ違いはないものの、それだけでは一人前とはならないようになってきたのが現状である。
医療従事者として求められているのは、個々の患者に対する個別医療の実施であり、治療計画はその対応力を高めるための前段階にすぎない状況と言える可能性があるのだ。患者の状況や意志に応じた対応を行い、QOLを向上させるのに特化した医療の実現が求められているのである。こういった考えが、医療従事者の不安を煽っているのが事実だ。最初の2年から3年は、一人前になるための最低限の能力を得る期間という位置付けを受けるようになるだろう。
この考え方がより切実なのが介護業界である。介護の基本は、サービスを受ける高齢者のQOLを向上させることであり、そもそも個別医療と共通する考え方が必要となっている。医療従事者が介護業界で働くのに不安を抱くのは、それが原因となっていることも多い。医療現場での個別医療の難しさを実感してきたために、介護現場の大変さを理解しているのである。
逆に、介護現場で経験を積んできた人にとってはQOLを重視する考え方が当然になっているだろう。その能力を活用して医療現場で活躍することもできるのだ。